前回の記事では『プロットを作るための種となるアイデアの作り方』を、前々回の記事では『長編小説の書き方』を書いています。
まだ読まれていない方は、一読されてから本稿を読まれた方が理解が深まると思います。


この記事では、いよいよプロットの作り方……言い換えるなら、発想したアイデアをどのようにプロットに変換させるか?という事を書きます。

一体、いくつのページを組み合わせるのが適当なのか?

先にアイデア発想法のところで、アイデアは既存のアイデアの組み合わせだという話をしました。

そしてその組み合わせる元は、wikiの『おまかせ表示』が有効だと前記事で紹介しました。

さて、一応 二つのページを組み合わせるだけでも新しい概念は生まれますが、別に数を増やしても良いわけです。

無限に増やす事も可能ですが、何やら訳がわからなくなりそうな予感です。

では、『一体いくつのページを組み合わせれば良いのでしょうか?』
この疑問に対する答えを考えるあたり、一度プロットの最小単位について考察してみます。

プロットの最小単位とは?

前記事では、プロットの流れのイメージについて説明しました。

本記事では、もっと小さい「プロットの最小単位であるプロット」について説明します。

といっても結論を先に言ってしまえば、それはシーン(場面)であるということです。

ハリウッド映画の予告編を思い出してみて下さい。
あれを観ただけで腹いっぱいになって、もうその映画を観た気になってしまうほどです。

あれは、興味をそそられるシーンの集まりだと言えます。

プロットは、そういう興味を惹くシーンを一つ一つ作って行って、それらの辻褄が合うように並べ替える作業だと言えます。

シーン(場面)を構成する要素とは?

では、印象的なシーン(場面)を構成する要素とは何なのでしょうか?

その答えを紹介する前に『三題噺(さんだいばなし)』ってご存知でしょうか?
落語の出し物の一つです。

「なんだ?何で唐突にコイツ落語の話なんか始めるんだ?興味ない!」

と拒絶反応を示す人もいるかもしれませんが、何かの本の中で村上春樹氏が「最近は専ら、この方法で短編小説を書いている」という趣旨の内容を書いていました。

そういう経緯があったので、私も興味をそそられたのです。

三題噺(さんだいばなし)とは

まず寄席に来た観客の中から、無作為に3人ピックアップします。
そしてその各々が、パッと思い付いた単語を噺家に伝えます。

噺家は一度の舞台の袖に引っ込み、数分間思案して、即興でオチのある話を作り、また舞台に戻って来て演じます。

時には舞台袖の思案では間に合わず、演じながら話の先を考えて困っている姿を観客が愉しむ、というものです。

もし納得が行く話に落ち着いたら、さすがプロ!という事になり拍手喝采という出し物です。

その『三題噺』の手法で作られた事で有名な演目が『芝浜』というものです。
この時の出されたお題が「芝浜」、「酔漢(酔っぱらい)」、「財布」の3つの単語でした。

先ほど『一体いくつの記事を組み合わせれば良いのでしょうか?』という問題がありました。

もうおわかりですね。その答えは3つです。

ただし、「単純に3つか……」で終わりではありません。

今一度、『シーン(場面)の構成要素とは何なのか?』について考察します。

実は、この「酔漢」、「財布」、「芝浜」の3つお題の中に、その答えがあるのです。
簡潔にまとめます。

・「芝浜」→場所、舞台
・「酔漢(酔っぱらい)」→人物、キャラクター
・「財布」→印象的なアイテム

以上が場面を構成する要素です。
この組み合わせが奇妙なら奇妙なほど、オーディエンスの注意を惹きます。

例えば、仮にお題が「芝浜」、「漁師」、「投網」だったとしたら、どうでしょう?
当たり前過ぎて、何のお話も思いつきそうにありません。

「芝浜」、「酔っぱらい」と来るから、何やら危険な香りがして来るのです。
そこへ「財布」と来たら、もう何かただならぬ予感がして来ます。

つまり、人を惹きつける場面(シーン)の構成要素は、一つは場所、一つは人、最後にアイテムということです。

新しいプロットの作り方を発明したぞ!

ついにプロットの最小単位がわかり、その場面(シーン)の構成要素もわかりました。

あとは先に紹介したwikiの『おまかせ表示』機能を利用したアイデア発想法に応用すれば良いだけです。

wikiの「おまかせ表示」機能を使って記事を表示させて、各ページの中から この3つの概念を抽出して行くのです。

そして異質なモノ同士で組み合わせる。

すると、あら不思議!何かが起きそうな予感を醸し出して来るのです。

つまりランダムに表示されたページの中から、以下の3つの属性を抽出するのです。

・場所的な属性
・人物的な属性
・アイテム的な属性

さらにランダムに引いた他のページの属性と総当たりで組み合わせて行きます。

その中で魅力的なシーンを抜き出して、あとは並び替えをする事でお話ができるのです。

つまり、プロットで言う所のアイデアとは、魅力的な場面(シーン)を作る事だったのです。

3つのページから3要素抜き出して組み合わせて行くと、6つの場面が出来上がります。

そんなに上手く組み合わせる事なんてできるのか?

さて、構成要素を組み合わせて、魅力的な場面(シーン)は出来た。
でも「どうやって並び替えれば良いのだろうか?」

それに対する答えのヒントは、前回の記事で図にしています。

プロットのイメージ

プロットのイメージ

最初と最後の直前に、何かショッキングな事件が起こります。

つまり、まず出来上がった場面(シーン)をショッキングな順番に並び替えてください。

そして1番ショッキングなモノを最後に、2番目にショッキングモノを最初に持って来るのです。

この順番を間違えると、図を見て貰えば明らかですが、大変な事になります。

『ここはとにかく、初っ端からインパクトだ!』とばかりに、一番ショッキングな場面を最初に放り込んでしまうと、最後の『絶望』部分が全然弱いモノになってしまって、オーディエンスの感覚は「うん、この主人公なら これくらいクリア出来るよね」って感じになってしまいます。

逆に言うと、この二つ以外は好きに並べてもらって構いません。

あとは練習

全3回に分けて、小説の書き方、プロットの作り方を公開しました。
途中「クド過ぎたかな?」と思う部分もあったかと思いますが、お許し下さい。
あとは、練習あるのみです。
ぜひ無尽蔵なプロットライターになって、楽しいお話をたくさん作って下さい。

さて・・・きっと・・・具体例が必要ですね。
次回は、今回紹介した方法の実例をご紹介します。

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