ドラゴンの通り道

夜な夜な 裸足でおかしな動きをしながら闊歩する中年の男
近所でも気持ちが悪いと評判になり始めていた
実は中年の男は仕事を終えあとの帰宅の途中の時間を
自己流の拳法の鍛錬にあてていた

そして遂にその時が訪れる……
そう……通報されたのだ
いい加減、痺れを切らした近所の住人が警察に連絡したのだった

警官に事情を説明し、平謝りする中年の男
……と、その時、男に何か、確信のような衝動が沸き起こり
警官の背中を突いていた……すると……
あらっ不思議! 警官の動きが止まった!
男は手応えを感じて大喜び
これが望んでいた結果だったのだろうか?そんな事はどうでも良い
これから何でもやりたい放題だ! そう自分はドラゴンに生まれ変わったのだ

そこへ 悩ましい女の影が通り過ぎる……
男は気が付くと 女の背後を付けていた
我にかえる
「さっき会得したての技を試してみよう」
案の定 女の足が止まった
「どれ ご尊顔を拝むとするか……」
……ガッカリする男

と、その時 警官の意識が戻る
「ちっ! とんだ食わせ者のジジイだ!許さん!逮捕だ!」

パトカーが集結して来て驚く男
「こういう時は、逃げるに限る」

と、その時 女が動き出す
その動作は速く、男の技よりも洗練されていた
素早く、男の背中に点穴を繰り出す女

そう、彼女こそが、達人レベルのドラゴンだったのだ
(完)

NG集へ続く